●同行の大森由紀子理事レポート
日本のガレット・デ・ロワコンクール優勝者、㈱神戸屋の津田宜季さんが、パリで行われた第23回ガレット・デ・ロワコンクール(パリ・パン菓子組合主催 会長:ジャック・マビーユ)に参加しました。パリのコンクールに外国人で出場しているのは、日本人だけ。フランス人が子供のころから親しんでいる本場のガレット・デ・ロワにどれだけ近づけることができるのか!?
これまでに挑戦した日本人パティシエおよびブーランジェは5人。出場者300人以上を数える中で健闘、いずれも10位台とかなりよい成績を収めています。
津田さんは1月2日に日本を発ち、3日は試作、そして審査当日の4日朝、パリのサンルイ島にある、パン協会のオーブンを借りて3台のガレット・デ・ロワを焼き上げました。その3台は、津田さんが日本から冷凍にしたものを大切に飛行機に乗せ、パリまで持参したものです。
私も4日の朝に合流。表面に卵を塗り、丁寧に線描きをし…、と書きましたが、実は線描きの場面を見ておりません。というのも、結構焼き時間が長く、私と在パリのクラブ理事である松浦恵理子さんは、カフェで焼きあがりを待っていたからです。でも、きっと誰も見ていない方が、落ち着いて美しい模様が描けたのかも、ですね。午後には3台のうち、一番上手に焼けたガレットを会場へ。会場はパリ17区のホテルレストラン学校です。ここに300台以上のガレット・デ・ロワが並ぶ様子は壮観!午後4時くらいから審査が始まります。97名に及ぶ審査員は、プロはもちろん、グルメジャーナリストやリタイアした弁護士、銀行員と食関係以外の方々も。皆さん真剣なまなざしで、ガレットをひっくり返して焼き色を見たり、香りをかいだりしています。審査のポイントは5項目。1焼き加減、2見た目、3アーモンドクリームの品質 4折パイ生地の出来具合 5カットしたときの全体のバランス、です。
そしていよいよ翌日5日夜、審査発表です。会場は出場者が働いているお店のスタッフや家族たちでいっぱい。審査は「見習い」「従業員」「経営者」の3部門に分かれて行われます。われらが津田さんのガレットは、「経営者」部門の審査対象に。それぞれの部門の入賞者が20位から発表され、順に賞状と賞品が授与されていきます。そして津田さんはなんと10位に入賞!今までの日本人出場者の中で、昨年参加の中野心悟さんと並ぶ最高位を勝ち取ることができました。おめでとうございます。奥様とお子さんを奥様のご実家に預け、お正月を返上しての渡仏。すばらしいおみやげができましたね!ちなみに今年の経営者部門の優勝者は、ルヴァロワ・ペレのブーランジェ、レミ・ポテ氏でした(「Remy Potey」 77, rue Victor Hugo 92300 Levallois Perret tel:01 47 37 08 59)。
●津田さんコメント
昨年出場された中野心悟さんからコンクールの事を教えて頂いていたので、日本で成形まで行ったものを冷凍し、発泡スチロールに蓄冷剤を入れて梱包し、現地まで運びました。
現地でテストベイクさせて頂いたので、本番ではいつも焼いていたガレットに近い状態で焼き上げる事が出来ました。
コンクール会場では約300ものガレットが並んでいるその光景に圧倒されました。焼き色、厚さ、クープ(模様)などは本当に様々で、傾向というと難しい部分があるのですが、日本のガレットの方がしっかり火が入り、クープなども繊細につくられていると思いました。
優勝された方のお店で購入したガレットをみると比較的焼色は浅く、フィユタージュは薄く、クレーム・ダマンドはしっとりしていて優しい味ですが、素材の味がしっかりしているという印象でした。生地とクレーム・ダマンドのバランスがよく、全体的に軽い仕上がりになっているので食べ易く感じました。 また、1月初旬という事もあり、街中のブーランジュリーやパティスリーにガレットが並んでいる光景を見ることが出来た事も良い経験になりました。ガレット・デ・ロワはフランスの人々にとって新年を祝うには欠かせない存在であることを肌で感じました。
このような素晴らしい機会を与えて下さり、コンクールまでの準備やアドバイス、現地での多大なるサポートに心から感謝致します。
本当にありがとうございました。